2025年12月3日

世界初の“木質カードゲーム” DELTASENSE。
合言葉は「難しいことは簡単に。簡単なことはより深く。」
前回に続き、今回も異業種が一卓に集結。

今回は、12/3に実施した体験会から、卓上で生まれた価値あるトピックを中心にお届けします。

本記事の構成

参加者

波と踊る館山の建築家：海の隣に家を建てるという夢を叶える。週末は波に乗り、平日は介護福祉事業を営み、地域社会への貢献を模索している。
２1世紀の美意識を模索する人：豊洲などにある日本一感性を刺激するラボの社長と、言わずと知れたジブリプロデューサーの間で、アナログとデジタルの融合を目指す。
北海道一の山林資源一家の跡継ぎ：プログラマーとしてゼロと一の狭間に思いを馳せる。現在は、日本の山林資源を持続可能なものにするべく奮闘中。
東西を繋ぐ物流網を構築した人：物流倉庫立ち上げとタリフ設計を実施。現在は2020年問題によって変わる業界に良い兆しを生み出すべく日本の物流網改革を夢見る。
元ミニ四駆のライバル会社社長：赤い“馬”を象徴するスポーツカーの役員と世界を飛び回り、現在は有名アーティストのマネージャーを担当。
木質カードの生成担当者：日本で二社しかできないと言われた薄さと発色の両立を実現。木に色を載せるという職人技を武器に、印刷の常識を変えるべく邁進中。
DELTA SENSEのデザイナー：建築意匠設計デザインの世界で得た感性から、イマーシブに誘うトリガーをDELTA SENSEに施した。心の深淵を覗くデザインを考案中。

卓で生まれた主要トピック

事例A：[マダム・クリコとシャンパーニュ革命]

参照情報との関連性

この事例が、参照テーマのどの構造・課題・仮説に重なるか？参照テキストには「印刷業界は男性社会」「女性経営者としてなめられたくない」「バブル崩壊後の苦境を『やられたらやり返す』精神で乗り越えた」という記述があります。これは、19世紀初頭のフランスで、夫の急死により27歳で未亡人（ヴーヴ）となり、男性優位のワイン業界で経営を引き継いだバルブ＝ニコル・クリコ（マダム・クリコ）の物語と完全に重なります。彼女もまた、ナポレオン戦争による経済封鎖という「バブル崩壊」以上の危機の中で、技術革新と強靭なメンタルで事業を拡大しました。

内容説明（Overview）

何を目的とし、どのような背景と手法で行われているか？19世紀初頭、シャンパン製造は未熟で、瓶の中に澱（おり）が溜まり濁っているのが普通でした。マダム・クリコは「最高品質」を目指し、キッチンテーブルに穴を開けた試作品から「動瓶台（ピュピトル）」という画期的な装置を発明しました。これにより、澱を瓶口に集めて取り除く技術（ルミュアージュ）を確立し、世界初の「澄んだシャンパン」を量産化することに成功しました。

定量データ（Quantitative Evidence）

成果・結果・傾向・業績・効果測定などの情報：
- [データ①] 年間生産本数：彼女が継いだ当初の数万本から、死去時には年間75万本へと爆発的に拡大。
- [データ②] 輸出比率：ロシア帝国の宮廷への輸出を成功させ、当時の売上の大半を海外輸出で稼ぐグローバル企業へ成長。
- [データ③] ブランド価値：現在もLVMHグループの中核ブランドとして、世界で年間販売数千万本規模を維持。

定性データ（Qualitative Insight）

関係者の証言・現場観察・記事から得られた情報：
- [観察①] 当時の商習慣を破り、戦時下の経済封鎖を強行突破してロシアへ船を出した決断力は「シャンパーニュの偉大なる貴婦人」と称された。
- [証言②] 「品質は一つ、最高級だけ」という彼女の言葉は、参照テキストにある「うちでしかできないものを残したい」という職人魂と共鳴する。
- [記述③] 彼女の発明した動瓶台は、特許を取らずとも瞬く間に業界標準（デファクトスタンダード）となり、現代のシャンパン製造の基礎となった。

行為主体が生み出す功罪（Actor Impact）

マダム・クリコは、個人的な悲劇（夫の死）と社会的逆風（女性差別の時代）を、「技術革新」という武器で突破しました。彼女が得たのは「業界のパイオニア」としての不滅の名声ですが、その人生は常に戦いと緊張の連続であり、安寧とは程遠いものでした。

消費者に与える功罪（User/Customer Impact）

消費者は「透明で美しい発泡酒」という新しい価値を得ました。一方で、彼女の確立した製法は手間がかかるため、シャンパン＝高価な飲み物という市場構造を決定づけました。

社会に与える功罪（Societal Impact）

ワイン産業における女性の地位向上に寄与した歴史的功績は計り知れません。また、フランスの輸出産業としての地位を確立しました。

特記事項および成果（Notable Outcomes）

彼女が開発した技術は、200年以上経った今でも基本原理が変わっていません。参照テキストにある「知識、技術、ノウハウを残したい」という経営者の願いが、最も理想的な形で実現された事例です。

その事例から生まれる創造性に溢れた新説／仮説（Disruptive Hypothesis）

「逆境こそが、模倣不可能な『職人芸』を生む母体である」平和で安定した時代（3Dプリンタで誰でも作れる時代）には、効率化の技術しか生まれません。しかし、バブル崩壊や戦争といった「理不尽な逆境」は、生存本能を刺激し、論理を超越したイノベーションを生み出します。つまり、例えは悪いかもですがブラック企業的な環境や理不尽な経験こそが、AIに代替されない「人間独自の強さ」を作るための必須カリキュラムなのかもしれません。