2025年11月14日
世界初の“木質カードゲーム” DELTASENSE。
合言葉は「難しいことは簡単に。簡単なことはより深く。」
今回は学生たちが一卓に集結、体験会の模様をお届けします。
本記事の構成
参加者
- 森林循環経済を志す学生:森林保全学生団体の発起人として日本中に声を掛けており、仲間集めの真っ最中。
- 全国を車で旅する学生:南から北まで、好奇心の赴くままに日本を横断中。興味関心の火は消えそうにない。
- 人と自然が共生する世界を夢見る学生:シュタイナー教育で得た知見に目覚めて、人の視座を回復させる夢を持つ。
- イマーシブを呼び起こすデザイナー:DELTA SENSEプロジェクトのデザイン部門を一手に引き受ける。
- 50歳の節目に再挑戦を決意する投資家:人の繋がりと豊かさが波及する何かを求めて新規事業の思案中。
- DELTA SENSE 製作委員会:多領域の調整役及び指南役として参加。

卓で生まれた主要トピック
1. 事例A:ビートルズ『Let It Be』〜創造の「過程」を売るという革命〜
参照情報との関連性
- この事例が、参照テーマのどの構造・課題・仮説に重なるか?
参照情報では、「音楽の楽しみ方」として、完成品だけでなく「開発風景」をコンテンツ化する可能性が議論されていました。これは、デジタル化によって効率が追求されるあまり、モノやサービスが生まれるまでの「過程」や「物語」の価値が見過ごされがちであるという現代の課題と重なります。ビートルズが映画『Let It Be』で実践したことは、まさにこの「創造の過程」そのものを商品とし、ファンに全く新しい体験価値を提供した歴史的実例です。完成された楽曲だけでなく、メンバー間の緊張感や創造の苦しみ、そして喜びといった生々しいドキュメンタリーが、結果的に作品の神話を補強しました。これは、参照情報で提示された「開発PVを売る」という仮説の原点であり、体験価値がどのようにして生まれるかを解き明かす鍵となります。
内容説明(Overview)
- 何を目的とし、どのような背景と手法で行われているか?
1970年に公開された映画『Let It Be』は、当初、ビートルズの新しいアルバム制作の過程を記録し、テレビ特番として放映する企画でした。目的は、ライブ活動を停止していた彼らが、原点回帰してバンドとしての一体感を取り戻し、その創造プロセスをファンに公開することにありました。しかし、撮影が進むにつれ、メンバー間の人間関係の軋轢や音楽性の違いが露呈。プロジェクトは当初の楽観的な雰囲気から一転し、バンド解散のドキュメンタリーという側面を色濃く帯びるようになります。手法としては、レコーディングスタジオや、ロンドンのアップル社屋上で行われた有名な「ルーフトップ・コンサート」での彼らの様子を、編集を加えつつも生々しく記録するというドキュメンタリー形式が取られました。
定量データ(Quantitative Evidence)
- 成果・結果・傾向・業績・効果測定などの情報:
- [データ①] アカデミー賞受賞: 1970年度の第43回アカデミー賞で「編曲・歌曲賞(Best Original Song Score)」を受賞。ドキュメンタリー映画でありながら、その音楽的価値が極めて高く評価されました。
- [データ②] アルバム『Let It Be』の成功: 映画と同名のサウンドトラック・アルバムは、全米・全英をはじめ世界各国のチャートで1位を獲得。映画で描かれた制作過程の物語が、アルバムの売上を強力に後押ししました。
- [データ③] 50年後の再評価: 2021年にピーター・ジャクソン監督が膨大な未公開映像を再編集したドキュメンタリー『ザ・ビートルズ: Get Back』が公開され、世界的な話題を呼びました。これは、半世紀を経てもなお、「創造の過程」に対する人々の興味が尽きないことを証明しています。
定性データ(Qualitative Insight)
- 関係者の証言・現場観察・記事から得られた情報:
- [観察①] 創造の苦悩と喜びの可視化: 映画では、ポール・マッカートニーが何もないところから名曲「Get Back」のベースラインと歌詞を即興で紡ぎ出すシーンが記録されています。この「魔法の瞬間」は、天才の創造プロセスを垣間見せるものとして、多くのファンやクリエイターに衝撃とインスピレーションを与えました。
- [証言②] ポール・マッカートニーの述懐: 後年、ポールは当時の状況を振り返り、「映画はバンドの暗い側面を強調しすぎていた」と語っています。しかし、同時に「僕たちがただの仲良しグループではなく、真剣に音楽と向き合うプロフェッショナルだったことの証明でもある」と、その記録の重要性を認めています。
- [記述③] 批評家の評価: 当時の批評は「バンドの崩壊を描いた痛々しい記録」という論調が主流でした。しかし、時が経つにつれ、「完璧なポップグループの神話の裏側にある、人間的な真実を捉えた貴重なドキュメント」として再評価されるようになります。
行為主体が生み出す功罪(Actor Impact)
- 当事者が得たものと失ったもの
- 得たもの: 創造の過程を記録したことで、彼らの作品に不滅の「物語」が付与されました。また、解散後も語り継がれる伝説の源泉となり、個々のメンバーの後のキャリアにも深みを与えました。
- 失ったもの: プライベートであるべきバンド内の緊張関係や対立が公に晒され、メンバー間の亀裂を決定的なものにしました。ビートルズという「完璧な共同体」のイメージは崩壊し、事実上の解散へと繋がりました。
消費者に与える功罪(User/Customer Impact)
- 第三者に与えたものと失ったもの
- 与えたもの: ファンは、完成品である楽曲だけでなく、それが生まれるまでの苦悩や喜び、人間ドラマを「体験」する機会を得ました。これにより、作品への理解と愛着が格段に深まりました。
- 失ったもの: 「ビートルズは永遠に仲の良い4人組である」という、ファンが抱いていた純粋な幻想や神話の一部が失われました。
社会に与える功罪(Societal Impact)
- 社会が得たものと失ったもの
- 得たもの: 「完成品」だけでなく「プロセス」にも価値があるという考え方を、ポップカルチャーの世界で証明しました。これは後のリアリティ番組やメイキング映像文化の源流となり、コンテンツの楽しみ方を多様化させました。
- 失ったもの: アーティストのプライバシーと作品の神秘性が、商業主義によって切り売りされる危険性を示唆しました。すべてを可視化することが、必ずしも芸術にとって良いことではないという教訓を残しました。
特記事項および成果(Notable Outcomes)
- 他社(他国)との違い、意外な副次的成果、第三者からの評価・受賞歴など
最大の特記事項は、前述の通り、50年の時を経て『ザ・ビートルズ: Get Back』として蘇ったことです。最新技術で復元された映像は、オリジナルの映画が捉えた「不和」のイメージを覆し、実際には多くの笑顔や創造的な協力関係があったことを明らかにしました。これは、一つの「事実」も、編集や視点によって全く異なる「物語」になり得ることを示しています。記録された「過程」は、時代を超えて再解釈され、新たな価値を生み出し続けるのです。
その事例から生まれる創造性に溢れた新説/仮説(Disruptive Hypothesis)
- この事例から導かれる新たな教訓、ドキドキワクワクするようなロマンある仮説:
『プロセス・エコノミー』の究極形は、”失敗”の物語化である。
人々が本当に心を動かされるのは、完璧な成功物語ではなく、むしろ人間的な弱さや対立、そして”失敗”から立ち上がる姿です。ビートルズの事例は、バンドの「解散」という最大の失敗すらも、後世に語り継がれる最高のコンテンツに変えてしまいました。これからの時代、企業や個人がファンを獲得するためには、完成品を誇るだけでなく、開発中の失敗談、挫折、そしてそこから得た学びを積極的に共有することが、最も強力なブランドストーリーになるのではないでしょうか。製品の「バグ報告会」が熱狂的なファンイベントになる、そんな未来が来るかもしれません。
欠点・懸念・改善事項(Critical Notes)
- 問題点、未達成目標、ステークホルダーからの反発、制度上の壁
この手法の最大の欠点は、プライバシーの侵害と、意図せざる演出のリスクです。カメラを意識することで、当事者の行動が不自然になったり、編集によって特定の意図が強調されすぎたりする危険性があります。また、すべての組織やプロジェクトが、その内部プロセスを公開することに適しているわけではありません。企業秘密や個人間のデリケートな問題を扱う場合、この手法の適用は慎重であるべきです。応用可能性としては、現代のスタートアップ企業が、投資家や初期ユーザー向けに、プロダクト開発のリアルな舞台裏を限定公開し、コミュニティの結束を高める、といった活用法が考えられます。

お土産のお裾分け
レジュメ:現代社会の構造的変化 – テクノロジーと人間性の衝突
レジュメ:世界の構造変化 – イルメナイト、マイクロファイナンス、アルテミス計画
※上記リンクは7日後に閲覧が出来なくなります
今回は学生が中心だったのですが、我々はZ世代という言葉に何か踊らされていたのかもしれません。
最初は手探りで言葉が文にならなかったのですが、心の奥底では言葉にならない想いがたくさん渦巻いていました。
一言一言を大切に、思いと共に紡いでいく姿がとても美しく感じられて、印象的でした。
改めて、世間やメディアが言うZ世代という言葉の括りには、リスクが潜んでいるなと感じさせられました。
今の学生たちは、我々が思う以上に日本や自然や地球に対して深い共感と高い志を持ち合わせていました!!
次回案内 & お問い合わせ
◇少人数制につき、毎回すぐに満席となります。優先案内をご希望の方は以下よりご登録ください。
◇取材・協賛・共同実証のご相談も歓迎です。下記のアドレスからお気軽にどうぞ。

この記事へのコメントはありません。