DELTA SENSE 初の体験会
世界初の“木質カードゲーム” DELTASENSE。
初の体験会では、編集・宇宙開発・広告・伝統文化・スポーツ解析・果樹・模型・宝石
―― まったく異なる8つの専門性が一つの卓に集いました。
合言葉は「難しいことは簡単に。簡単なことはより深く。」
異業種の視点が交わって生まれた新しい“視座”をダイジェストでお届けします。
本記事の構成
1. 参加者
- 名編集長:各業界のカリスマ著者を支えてきた編集者。物語化と骨太な論点整理が強み。(今回は指南役も担当)
- 果樹 × 山梨大使:実家は果樹園。山梨の果物を全国へ広げる元JC会員、外国人労働者の管理も担当。
- 海と盆栽の継承者:ナマコ養殖に携わりつつ、日本を代表する盆栽親方と伝統文化の継承を推進。
- 宇宙探査機「はやぶさ」プロジェクト参画者:開発・打上げのプロセスを知る実務家。(今回は指南役も担当)
- メンサ会員のスポーツ分析家:大手代理店を離れ、現在は美容サロンを支援。趣味で競技データの解析を継続中。
- 国連諮問機関の調整役:国内秩序の安定化に向けて多領域の調整役を担う。
- 元模型メーカー社長:赤い“馬”を象徴するスポーツカーの役員と世界を飛び、タミヤのライバル企業を率いた経験を持つ。
- 鉱山を渡る宝石商:マチュピチュと縄文に親和性を見出し、世界の鉱山で自ら採掘・買付を行う。
2. 当日の流れ
オリエン(10分) 会場紹介「トスカネリア」について。自己紹介とカードの説明。
セッション1(70分) 2卓に分かれてプレイ。想定40分を超える熱量で、論点が自然に深掘り。
セッション2(45分) 予定(〜15:00)を少し延長して継続。論点の収束と反証を重ねる。
まとめ(10分) お土産と撮影、次回開催の告知。
雑談(120分) 半数が残り、カードを使った自由対話へ。テーマの派生と具体化が進行。

3. 卓で生まれた主要トピック
事例B:【書籍】マイケル・サンデル『実力も運のうち』とシェリー・タークル『一緒にいてもスマホ』
参照情報との関連性
- この事例が、参照テーマのどの構造・課題・仮説に重なるか?
参照情報では「日本は勉強でまくれる国」という建前と「教育格差は存在する」という現実のギャップ、そして「個人主義の深化」や「身体性の喪失」が語られています。サンデルの著書は、まさにこの「頑張れば報われる」という“能力主義”が新たな分断を生む構造を解き明かします。一方、タークルの研究は、テクノロジーがもたらす「つながりの錯覚」が、いかにして私たちを「一緒にいても孤独」な状態にし、共感能力を奪っているかを明らかにします。この二つの議論を組み合わせることで、現代社会が抱える「分断」と「孤独」という二つの大きな課題の根源に、能力主義という思想とデジタル技術の普及が深く関わっているという仮説が浮かび上がります。
内容説明(Overview)
- 何を目的とし、どのような背景と手法で行われているか?
ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデルは、『実力も運のうち』で「能力主義」という現代社会の根幹をなす価値観に疑問を投げかけます。能力主義が「勝者」に傲慢さを、「敗者」に屈辱感を与え、社会の分断を深刻化させていると指摘します。一方、MITの社会心理学者シェリー・タークルは、『一緒にいてもスマホ』で、デジタル技術が普及した現代で、人々が「常時接続」しているにもかかわらず、なぜ孤独感を深めているのかというパラドックスを、長年のインタビュー調査を通じて解明しようとしました。両者とも、現代社会の病理を分析し、より公正で連帯感のある社会のあり方を模索することを目的としています。
定量データ(Quantitative Evidence)
- 成果・結果・傾向・業績・効果測定などの情報:
- [データ①] 米トップ大学の学生の家庭環境: アイビーリーグの学生の多くは所得上位20%の家庭出身であり、能力主義が謳う機会の平等が幻想であることを示唆しています。
- [データ②] 若者の孤独感の増大: 米国のZ世代の73%が「時々または常に」孤独を感じると回答しており、テクノロジーに最も親しむ世代が最も孤独であるという逆説を示しています。
- [データ③] 共感能力の低下: ミシガン大学の研究では、現代の大学生の共感レベルは30年前に比べて40%低いことが示されており、デジタルコミュニケーションの普及との関連が指摘されています。
定性データ(Qualitative Insight)
- 関係者の証言・現場観察・記事から得られた情報:
- [観察①] 勝者の傲慢と敗者の屈辱: サンデルは、能力主義の勝者が成功を自分の手柄だと考え、敗者が「努力不足」という自己責任論を内面化することで、尊厳が奪われると指摘します。
- [証言②] 編集される自己: タークルのインタビューで、ある若者は「リアルな会話は編集できないから怖い。でもテキストなら完璧な自分を演出できる」と語ります。人々は生のコミュニケーションのリスクを避けるようになっています。
- [記述③] 共感の筋肉の衰え: タークルは、対面のコミュニケーションを「共感の筋肉」を鍛えるトレーニングに喩え、デジタル漬けの生活がこの筋肉を衰えさせると主張します。これは参照情報にあった「身体性の喪失」とパラレルな、社会的・情緒的能力の低下と言えます。
行為主体が生み出す功罪(Actor Impact)
- 当事者(能力主義の勝者/テクノロジー企業)が得たものと失ったもの
- 得たもの: 高い社会的地位や経済的豊かさ(勝者)、莫大な利益と市場支配力(企業)。
- 失ったもの: 他者への共感や謙虚さ(勝者)、社会的責任への批判や長期的な信頼(企業)。
消費者に与える功罪(User/Customer Impact)
- 第三者(能力主義の敗者/ユーザー)に与えたものと失ったもの
- 与えたもの: 僅かな希望(敗者)、いつでも繋がれる利便性(ユーザー)。
- 失ったもの: 個人の尊厳や自己肯定感(敗者)、深い対話や共感の能力(ユーザー)。
社会に与える功罪(Societal Impact)
- 社会が得たものと失ったもの
- 得たもの: 効率的な人材選抜システム(という建前)、情報伝達の高速化。
- 失ったもの: 社会的連帯、共通善を追求する精神、そして「共感」に基づいた共同体の弱体化。
特記事項および成果(Notable Outcomes)
- 他社(他国)との違い、意外な副次的成果、第三者からの評価・受賞歴など
サンデルの能力主義批判は、トランプ現象やブレグジットなど、近年の政治的な分断を理解する上で重要な視点を提供しました。タークルの研究は、「デジタル・ウェルビーイング」といったムーブメントの思想的な土台となり、テクノロジーと私たちの関係性を見直すきっかけを与えました。
その事例から生まれる創造性に溢れた新説/仮説(Disruptive Hypothesis)
- この事例から導かれる新たな教訓、ドキドキワクワクするようなロマンある仮説:
『貢献主義』と『共感資本主義』へのパラダイムシフト。
これからの社会は「個人の能力」を測る能力主義から、介護士や農家など、社会を支える仕事の価値を再評価する『貢献主義』へと移行するのではないでしょうか。そして、その価値の根底にあるのは「共感」です。人々はモノの所有よりも、質の高い人間関係やコミュニティへの所属に価値を見出す『共感資本主義』の時代が到来します。次なるユニコーン企業は、テクノロジーを使って「孤独」を解消し、「本物の繋がり」をデザインする企業かもしれません。
欠点・懸念・改善事項(Critical Notes)
- 問題点、未達成目標、ステークホルダーからの反発、制度上の壁
サンデルの具体的な解決策は限定的であり、「貢献」をどう測るかという難問が残ります。タークルの議論は、テクノロジーの恩恵を過小評価しているとの批判もあります。改善の方向性としては、まず社会全体で「成功は運の要素が大きい」という謙虚さを共有すること。そして、個人の意識改革だけでなく、都市設計や企業制度など、社会全体で「共感の筋肉」を鍛える仕組みを構築していく必要があります。

4. 編集後記
※上記リンクは7日後に閲覧が出来なくなります
端的にいえば、出会いと言葉が重なり、名残惜しい時間となりました。
「やっぱり、みんな事例やエピソードを普段は言わないだけで持っているのだなぁ」と再確認。
2時間が融けるように過ぎ、まだまだ語り足りない空気が場の満足感を物語っていました。
実際、体験会後に3時間も感想戦が行われるとは夢にも思いませんでした。
隔週水曜日に定例で体験会イベントを行いたいという声が挙がりましたので、また企画して参ります!
5. 次回案内 & お問い合わせ
◇少人数制のため、毎回すぐに満席となります。次回の優先案内をご希望の方は、以下よりご登録ください。
◇取材・協賛・共同実証のご相談も歓迎です。下記のアドレスからお気軽にどうぞ。

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