地域活性化

イベントレポート in 金町 with 葛飾区青年部

DELTASENSE 体験会(参加者9名)
|2025年10月26日

世界初の“木質カードゲーム” DELTASENSE
今回は、金町の地に9つの専門性が一卓に集結しました。
カードを組み合わせながら、課題を構造化した結果、数多くのアイディアが生まれています。

今回は、卓上で生まれた価値ある企画群を中心にお届けします。

本記事の構成

  1. 参加者
  2. 当日の流れ
  3. 卓で生まれた主要トピック
  4. お土産とお裾分け
  5. 次回案内 & お問い合わせ

1. 参加者(肩書きは要約)

  • 自治体・学校のICT推進マネージャー:公教育のICT活用を現場で加速。
  • 企業再生コンサルタント:多業種の再建に通じる“現実解”の設計者。
  • 警備業の重役:業界随一の受注率と安定性を牽引。
  • 次期青年会の顧問:日本を牽引する若手実業家の補佐役。
  • 林業資産×財務の番人:北海道の山林資源を守る創業一家の要。
  • 鉄道インフラ系 研究員:国の基盤を支えるコア技術の専門家。
  • 地域インフラ企業のマネージャー:熟考型の意思決定で地域経済を支える。
  • 米軍のセキュリティ担当者:アメリカ陸軍のサイバー攻撃対策を担当。
  • サッカー留学を志すU18選手:選手権ベスト4経験、次はアメリカへ。

2. 当日の流れ

オリエン(40分) 自己紹介をした後、軽くカードの説明、そして松原指南役主導でデモンストレーションを実施。

セッション1(35分) 2卓に分かれてプレイ。指南役は初めて手にした方々が担当、初回とは思えない見事なファシリテーションでした。

セッション2(45分) 慣れてきた2回目はより議論が活性化。指南役を初体験する方々からも熱量が伝わってきました。

懇親会 感想を語り、お互いをより深く知る時間になりました。

3. 卓で生まれた主要なトピック

事例C:ビュートゾルフ(Buurtzorg)

参照情報との関連性

  • この事例が、参照テーマのどの構造・課題・仮説に重なるか?
    参照情報では、「AIが介護業界の労働集約的な課題を解決する」という期待が語られています。しかし、同時に「AIはまだ肉体労働ができない」「人対人のケアが重要」という現実もあります。オランダの在宅ケア組織「ビュートゾルフ」は、このジレンマに対する画期的な答えを提示する事例です。彼らは、最先端のIT(AIの前段階とも言える)を活用して管理業務を徹底的に効率化し、その分、看護師が本来の「人対人のケア」に集中できる時間を創出しました。これは、参照情報で議論された「省人化」や「効率化」が、ケアの質を犠牲にするのではなく、むしろ向上させる形で実現可能であることを示す、未来の介護モデルと言えます。

内容説明(Overview)

  • 何を目的とし、どのような背景と手法で行われているか?
    ビュートゾルフ(オランダ語で「近所のケア」の意)は、2006年に看護師のヨス・デ・ブロックによって設立された非営利の在宅ケア組織です。当時のオランダでは、介護が細分化・マニュアル化され、看護師が書類仕事に追われて患者と向き合う時間が失われていました。この状況を問題視したデ・ブロックは、「人間性を組織の中心に取り戻す」ことを目的にビュートゾルフを創設。その手法は革新的で、マネージャーや管理部門をほぼ完全に撤廃し、12人以下の看護師からなる自己管理型の小チームが、地域に根ざした包括的なケアを提供します。チームは、ケアプランの作成から予算管理まで、全ての意思決定を自律的に行います。その活動を支えるのが、情報共有や事務作業を円滑にする独自のITプラットフォームです。

定量データ(Quantitative Evidence)

  • 成果・結果・傾向・業績・効果測定などの情報:
    • [データ①] 驚異的な管理コストの低さ: 業界平均で売上の約25%を占める管理コストが、ビュートゾルフではわずか8%に抑えられています。これは、管理職を置かないフラットな組織構造とIT活用によるものです。
    • [データ②] ケア時間の削減と質の向上: 従来のケア組織と比較して、患者一人当たりに必要なケア時間を約40%削減。これは、看護師が患者の全体像を把握し、自立を促す質の高いケアを提供できるため、結果的に患者の状態が早く改善することを示しています。
    • [データ③] 圧倒的な従業員・顧客満足度: オランダで最も魅力的な雇用主として何度も表彰されるなど、従業員満足度が極めて高いことで知られています。同時に、患者満足度も他のどの組織よりも高い評価を得ています。

定性データ(Qualitative Insight)

  • 関係者の証言・現場観察・記事から得られた情報:
    • [観察①] 専門職としての誇りと裁量権: 現場の看護師は、マニュアルに縛られず、自らの専門的知識と経験に基づいて最適なケアを判断・実行できます。これにより、仕事へのモチベーションと責任感が飛躍的に向上しています。
    • [証言②] 創設者の哲学: 創設者ヨス・デ・ブロックは「複雑な問題には、シンプルなルールと信頼を。官僚主義は創造性を殺す」と語ります。組織を信頼し、現場に権限を委譲することが、最高のパフォーマンスを生むという信念が貫かれています。
    • [記述③] テクノロジーの役割: ITシステムは看護師を管理・監視するためではなく、彼らが知識を共有し、互いに助け合い、面倒な事務作業から解放されるための「支援ツール」として機能しています。

行為主体が生み出す功罪(Actor Impact)

  • 当事者(ビュートゾルフの看護師)が得たものと失ったもの
    • 得たもの: 専門職としての自律性と裁量権。管理者に指示されるのではなく、自ら考え行動する「やりがい」。患者と深く向き合う時間と、それによって得られる満足感。
    • 失ったもの: 伝統的な組織における「キャリアパス(昇進)」。ビュートゾルフには管理職が存在しないため、現場の専門職として働き続けることが前提となります。

消費者に与える功罪(User/Customer Impact)

  • 第三者(患者とその家族)に与えたものと失ったもの
    • 与えたもの: いつも同じチームの顔なじみの看護師から、一貫性のある質の高いケアを受けられる安心感。単なる処置だけでなく、生活全体の相談に乗ってもらい、早期に自立した生活を取り戻せるという大きな利益。
    • 失ったもの: サービス提供エリアがまだ限定的であるため、誰もがこのケアを受けられるわけではない点。

社会に与える功罪(Societal Impact)

  • 社会が得たものと失ったもの
    • 得たもの: 高齢化が進む中での、持続可能な医療・介護モデル。ケアの質を向上させながら、国全体の医療費を大幅に削減できる可能性を示しました。これは世界中の国々にとって重要な示唆となります。
    • 失ったもの: 既存の大規模な介護事業者にとっては、そのビジネスモデルを根底から揺るがす脅威となり、業界内での摩擦を生む可能性があります。

特記事項および成果(Notable Outcomes)

  • 他社(他国)との違い、意外な副次的成果、第三者からの評価・受賞歴など
    ビュートゾルフの成功モデルは世界的な注目を集め、日本を含む世界30カ国以上で、その哲学と手法を導入する試みが始まっています。これは、このモデルが特定の文化や制度に依存するものではなく、普遍的な価値を持つことを示唆しています。意外な成果として、看護師の離職率が極端に低く、採用コストも大幅に削減できている点が挙げられます。

その事例から生まれる創造性に溢れた新説/仮説(Disruptive Hypothesis)

  • この事例から導かれる新たな教訓、ドキドキワクワクするようなロマンある仮説:
    『AIは最強の「現場サポーター」になる』
    参照情報ではAIが人間の「代替」となる可能性が議論されましたが、ビュートゾルフの事例は別の未来を描き出します。それは、AIが人間を管理・代替するのではなく、現場の専門職をエンパワーメント(力づけ)する最強のサポーターになる未来です。具体的には、AIが世界中の論文や過去の膨大なケア記録を分析し、「この患者さんの症状と生活環境なら、こんなケアプランが考えられます」と複数の選択肢を提示。最終的な判断は、患者を直接知る現場の看護師が下す。AIは診断や事務作業といった「脳みそ」労働の一部を肩代わりし、人間はコミュニケーションや共感、最終判断といった人間にしかできない役割に集中する。これは、AIと人間がそれぞれの得意分野を活かして協働する**「拡張知能(Augmented Intelligence)」**の姿であり、テクノロジーが人間性を奪うのではなく、むしろ豊かにするための、希望に満ちた介護の未来像です。

欠点・懸念・改善事項(Critical Notes)

  • 問題点、未達成目標、ステークホルダーからの反発、制度上の壁
    このモデルの成功は、創設者の強いリーダーシップと、自律的に働ける優秀な専門職の存在に大きく依存している側面があります。そのため、他の国や組織で単純に模倣することが難しい場合があります。また、各国の医療・介護保険制度や規制が、こうした柔軟なチーム運営の障壁となるケースも少なくありません。スケールアップ(規模拡大)していく中で、当初の理念やケアの質をどう維持していくかが今後の課題です。

4. 編集後記

レジュメ:技術革新が揺るす社会 〜分断の先にある新たな協働のかたち〜

レジュメ:世界の構造変化を読み解く三つの説話

レジュメ:世界の構造変化と子どもの貧困

レジュメ:技術発展がもたらす「光と影」

 ※上記リンクは7日後に閲覧が出来なくなります

自ら情報を取りに行こうとする姿勢が、対話を通じて自然と生まれていく姿が印象的でした。

知らなかった言葉が分かった瞬間、その時、人はとてもいきいきとした笑顔になります。

「体験する前は意見が固まっていたが、体験後は別の考えを受け入れるようになっていた」と語る方も。

企業の採用イベントを実施して、面談をカードで実施すると学生も喜ぶという声も挙がりました。

改めて、DELTA SENSE は正解を教える道具ではなく、問いの補助線を引く道具なのだと実感しました。

5. 次回のご案内 / お問い合わせ

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